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interview

「ロケーションの変更」ではなく「高研としての移転」

株式会社 高研
移転委員会メンバー

移転とは普段の業務ではなく、数年に一度あるかないかの企業にとっては一大プロジェクトになります。

社内のいろんな部署から選任された移転委員会のメンバーで移転業務を進めた株式会社高研様。
内田取締役、総務人事部望月部長、鈴木課長、情報システム部石垣課長の4名に移転までの経緯や委員会のメリットなどを伺いました。


Q:移転委員会という組織はどういった経緯でできたのでしょうか?

内田取締役(以下、敬称略):それは前回の改装時の反省からです。
前回は我々が主体的な考え方を持ってデザイン会社をリードして進行していったというよりも、言われた範囲の中で考えていたというものだったと思います。更に我々の社内のコンセンサスが取れない時もあり、デザインをされた会社に明確な意向を伝えることができませんでした。
今回の移転では、単にロケーションが変わるだけではなくて、社員の意識を新しく変えていかなくてはいけない、そのためには自分たちできちんと考え方やコンセプトをまとめて、自分たちで事務所作りをしようと考えました。
よって部門横断的な委員を選任して考え方をまとめていくのがベストだと思ったのが委員会発足の趣旨です。
鈴木課長(以下、敬称略):僕は2年前の改装の時も担当として手掛け、同じビル内での改装だったのですが、その時は委員会というものはなく、そうすると社員が勝手に「このスペースを広くして」とか「パーティションの長さを替えて」というようにオーダーすることがあり、今回はそういったことはやめようということは決めていました。
石垣課長(以下、敬称略):私は情報システム部なので、通信機器であるとかサーバールームの話が出てきたときに必要なのだろうと思ってましたが、実際はレイアウトの話であるとか、デザインの話を含めて打ち合わせをさせていただきました。
内田:今回の委員会のポイントは部署を越えて委員を選出しているところです。各部門の代表として出ているのではなく、委員会のメンバーとして全社的・総合的な判断をしてもらうために参加してもらうということでした。そのため、この件は「私(各委員)の責任や担当ではない」という発想がないようにしたいというのが意図でした。
石垣:最初はその意図がわからなかったですが、打ち合わせを重ねていくにしたがって、徐々に方向性が見えてきました。

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Q:移転委員会のメンバーは何名くらいいるのでしょうか?
内田:合計9名ですね。 部署もフロアも違う人たちが集まったので、最初は戸惑いもあったようです。
Q:移転の前からかなりミーティングは行われましたか?
内田:何度も行いました。オリエンの対象となるデザイン会社と話をする前に、自分たちで「こういったことをやって行こう」と主体的に考え、何を決めなければいけないのかを全員が意識するようにしました。
Q:最初はどういった話し合いが行われましたか?
内田:まず私の方から今回の移転およびこの委員会の趣旨を説明した後、タイムラインについて大まかに説明しました。また委員の役割を明確にして、今週はこれ、来週はこれ、というように打ち合わせの日時と移転までの実施事項をスケジュール化しました。
Q:オフィスデザインの会社と話を詰めるというより、自分たちでゴールを決めてそこへ進めていったという感じでしょうか?
内田:私がイメージした委員会はそういったものでした。当事者として主体的に積極的にリードしていき、やらなければいけないことを自分たちできちんと把握して進めていくべきであると思いました。現実には上手く行かないこともありましたが。


Q:レイアウトに関してはどのように進めていったのでしょうか?

鈴木:最初に森ビル設計部からレイアウト案が提出されまして、それをベースに机の数などを計算しながら人数配置を委員会で決めていきました。
内田:ワークスペースについては、建物の状況によっては島の席数が違う事があると思いますが、今回はすべて6席ずつの島にしました。人数の関係で空席になったとしても空間を有効に活用することができるとの発想で、すべて席数を統一するプランを決めました。
Q:エントランスでのご要望はございましたか?
内田:エントランスは各デザイン会社さんにお任せいたしました。各社の専門性がもっとも発揮いただける箇所だと思ったからです。 イメージとしては旧オフィスのエントランスがありましたので、それがベースの考え方になるだろうなという想像はしていましたし、またコーポレートカラーを事前にお伝えしました。

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Q:エントランスデザインは各社、違いましたか?
内田:ヴィスさんからの提案はユニークでした。各社、壁の角度であったり照明であったりの違いはありましたが、こちらから明るくて清潔感のあるオフィスという要望を伝えていましたので、そこで大きく違いが出るというほどではなかったですね。
Q:では会議室の大きさなどに気を配りましたか?
内田:これまでのオフィスは大会議室と称しながら十分な広さではなかったため、今回は本社社員全員が入れる会議室にしたいという要望を伝えました。執務スペースの1フロア化と全員が入れる大会議室の確保の2点は我々の基本コンセプトとしてお伝えしました。

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Q:プレゼンテーションが行われましたが、その後にはどういった話し合いが行われましたか?
内田:各社の提案内容は2つに大別できるとの印象を受けました。 それはconservative(保守的)なのか、あるいはinnovative(革新的)なのかという点です。
委員の中でも「現状と変わり映えしない」提案に賛成する人もいれば、「新しい発想」の提案に賛同する委員もおり、どういった方向性がいいのかという議論が中心になりました。
また私はプレゼンの仕方にも注目していました。我々の求めているものや、我々が気づいていない点を指摘していただけるかどうかにも関心を払ってプレゼンを聞いていました。
森(弊社PM):私は10人の前で行うプレゼンというのは初めてでしたし、森ビルの施工経験も少なかったので、「安心できる」という点ではなく、デザインのコンセプトや思いを伝えるというポイントを考えて、プレゼンテーションを行いました。


Q:どのような手順でパートナーを決められたのでしょうか?

内田:ポイントは「今までと何ら変わらない事務所を作るのか」あるいは「自分たちでこれから働いていく環境を新しく作っていくのか」ということだとの話を各委員にしました。
そのうえで、今回の移転の趣旨は「主体性」であり「自分たちの事務所は自分たちで作る」という我々の考え方を理解して一緒にやっていただけるデザイン会社の選定をしようと再確認しました。
また、各社のデザインや、オフィス作りに関する専門性については大きくは変わらないとの印象を持ちました。各々プロであり、特徴や長所があるわけですから、そうした中できちんと対応してくれ当社の移転を理解し協力いただける会社と一緒に進めていこうとの結論を出しました。
森:私は今回は予算が全く分からないと言われていたので、その点が不安でした。
内田:最初から精度の高い見積りは出ないと思っていました。我々としては概算の価格を知りたかっただけなので、最初はあえて予算額を伝えていませんでした。
Q:プレゼンテーションの2回目があったそうですが、その後はどういった話し合いがありましたか?
内田:4社中、2社を選定しました。我々に対する対応であったり、スピードであったりという点も判断材料としました。 この段階の基準は、当然、保守的ではなく革新的であるということでした。
鈴木:最後は先述の革新的な移転という点を重視し、意見が分かれることなく、ヴィスさんにという流れになりました。
内田:個人的には、ヴィスさん自身は選定されることについてあまり期待されていなかったのではないかと思いました(笑)。 最後にエントリーされたわけですし、今回はプレゼンに参加すればいいという意識ではないかと勝手に推測していました。
森:もちろん精一杯ご提案はしていましたが、途中でダメなのかなと思ったときもありました。
内田:何でその話をしたかと言いますと、そういう状況だからこそヴィスさんは我々の要望に対してより真剣に対応しようとされたのではないかと思っているからです。
そこで新しい発想のプランを提案して頂いたり、熱意とやる気が感じられヴィスさんへ傾いて行ったと思います。
あくまでも今回の移転は森ビルへの「ロケーションの変更」ではなく、 「高研としての移転」であるというところがポイントでした。

※移転委員会のメンバー。左より望月氏、鈴木氏、内田氏、石垣氏in06-01.jpg

Q:設計の大滝はプランを描くときに提出が最後で、森ビルの施工経験がないから大丈夫かと心配しておりましたが?
内田:確かに委員会でそういった意見もありました。森ビルの実績がないとか、大きなビルの実績がないとか。
そうした過去の実績ではなく、当社としてこれまでのオフィスを変えなければ移転の意味がないということを再度確認し、ヴィスさんと一緒にやって行こうと決めました。
鈴木:私は各社さんにお断りの連絡をしたのですが、各社さん折り返しで電話がかかってきました。 森ビルさんにもその旨を伝えたのですが、最初のオリエンにヴィスさんがいなかったので、それはどこの会社さんですかと聞かれました(笑)。
内田:我々が対価を支払う以上、求めるものは「デザイン」でした。 デザインという専門性であって、事務所作りに関する薀蓄などではなかったわけです。
プレゼンに対するスタンスは、各社のアピールは意味があるとは思いますが、我々が求めるものが何であるかを正確に掴んでいただけるかどうかが重要なポイントだと思っています。
Q:3Fと13Fというフロア構成ですが、それは慣れましたか?
内田:想定し得ない東日本大震災が発生し、その影響でエレベーターの使用台数制限があることくらいで、それ以外の問題は生じていないと思います。
Q:途中で工事作業をしている現場はご覧になられましたか?
鈴木:私は何度か拝見いたしました。
今回は前回との違いで言いますと、前回は途中で意見が変わったりしたことによって、工事の途中、あるいは終わった後で追加費用が発生したことが何度かありました。ただし今回は工事に入る前に何度も何度も打ち合わせを重ねていたので、そういったことはほとんどありませんでした。そういった意味でも今回の移転はスムーズに行ったのだと思いますよ。


Q:移転の日はどのように迎えられましたか?

鈴木:移転日が地震の次の日だったんですよ。
森:私は地震の時は石垣さんと一緒にいました。
Q:社員の皆さまは大丈夫でしたか?
石垣:私どもやオフィスは無事でしたが、3Fから13Fまで鍵を閉めに行くために階段で行くのがたいへんでした。
鈴木:工事途中でなくてよかったです。職人の方が怪我でもされていたら大変だったので。
Q:いろいろな難しい判断に迫られたと思いますが、移転業務は最終的にどのタイミングでGOサインをだされたのでしょうか?
内田:最終的には社長と相談しましたが、私は移転を中止したり延期するつもりは全くありませんでした。ただ、エレベーターが動くことは条件として必要でした。他にもいろいろな事態を想定して判断しないといけない状況でしたので、非常に難しい判断が続きました。
望月部長:エレベーターは夜中の3時に動き出しましたので、ホッとしました。 また移転当日の朝に引越会社のメンバーが集まっているかということとエレベーターが旧オフィスと新オフィス両方動いているかということを確認してからよし、行こうという最終判断になりました。
内田:スムーズに行かなかったことや手間取ったところもあったとは思いますが、想定していたより順調に進めることができたと思います。
ただ、震災直後で営業開始日に全員が出勤できなかったのは少し残念でした。 致し方ないのですが。
一方、移転祝いのお花は、震災直後で混乱が生じる前の段階ですからかなり届きました。 移転が翌週になっていたら状況が変わっていたと思います。
実際、出社できた社員よりも届いた花の方が多かったくらいです(笑)。

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Q:移転してからすぐに通常業務に入れましたか?

内田:移転当初は「移転をした」ということよりも地震の影響によって通常業務ができないということが大きかったのですが、現在は地震の影響も沈静化しこのオフィスをフル活用させていきたいと思っています。
移転の最大のメリットは、執務スペースが1フロアーになりコミュニケーションがとりやすくなったことだと思っています。今までフロアーが分かれていた部署でも業務の一つ一つが確認できるようになり、透明性が上がり効率も上がっているように実感しています。
鈴木:リフレッシュスペースができて非常に良かったという声がありますね。特に女性社員からですが、ランチもみんなで集まって食べておりますし、前回よりはスペースが広がったのでゆったりと使っています。ほぼ毎日埋まってしまっていますね。
内田:最初はいろんな意見が出ていました。外資の会社でもないので、そういったものが必要なのかとの意見もありました。しかしみんなが積極的に使っているところ見ると、やはり作っておいてよかったと思います。


          

                  


取材後記:


オフィスの移転は専門の会社に丸投げしたら上手くいくという当たり前の移転に高研さんは一石を投じまして、それは正解であったと委員会の皆様が口をそろえておりました。それは追加で発生する費用が少なかったという言葉でもお分かりになるように事前に準備がしっかりとできていたことが大きいと感じました。

移転委員会を立ち上げて、十分に社内で協議を重ねてからオフィスのデザインをお願いするというスタイルは「自社のことを一番詳しいのは自分たちである」という当たり前であるにもかかわらず、把握にしにくい部分の発見が我々にもありました。
移転をするのは「自分たち」なのだという内田取締役の力強い言葉は印象的でした。
同時に自分たちのことをしっかりと分析し、把握をしておかないと委員会を立ち上げてもバラバラになる可能性があります。リーダーシップと委員会の目指す方向性を導いたことが今回の移転の成功への道筋へとつながったのではないかと思います。

株式会社 高研
http://www.kokenmpc.co.jp/

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