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2021.11.8

From VIS

フリーアドレスオフィスのメリット・デメリットとは!?ー他社事例も紹介ー

オフィスにて『フリーアドレス』であることが主流になってきた昨今。本当に全ての企業においてフリーアドレスは効果的なのでしょうか。導入しているフリーアドレスは真の機能を果たしているのでしょうか。フリーアドレスの原点から立ち返り、本当に企業に合った働き方について見つめ直してみましょう。



  • フリーアドレスとは



    社員が個々の自席を持たず自由に働く席を選択できるオフィススタイルです。





  • フリーアドレスに向いている企業は



    ノートパソコンで業務ができる企業や、ペーパーレスが実現しやすい企業。そのほか、以下のような目的で働き方を改善したいと考えている企業。
    ・テレワーク普及に伴いオフィススペースをより有効活用したい
    ・コミュニケーションを強化したい
    ・時間や場所にとらわれない働き方にしたい。





  • フリーアドレスに向いていない企業/部署



    ?1.社員の在席率が高い
    2.個人情報や機密情報を扱う
    3.40代以上の社員が多い





  • フリーアドレス導入にあたって何から始めたらよいの?



    1.導入する範囲を決定する
    2.座席数を決定する
    3.運用形態を決定する
    4.感染症対策を徹底する




フリーアドレスとは?

そもそもフリーアドレスとはどのような意味でしょうか?フリーアドレスとは、社員が個々の自席を持たず自由に働く席を選択できるオフィススタイルです。

従来のオフィスですと、決められた位置にデスクを配置し、一人一台デスクが与えられ、その与えられたデスクで働いていました。要はその「自席」という概念をなくし、空いている席や自由な場所で働くことができるのです。それがフリー(=自由な)アドレス(=所在)です。

フリーアドレスに向いている企業は、いくつか特徴があります。例えば、ノートパソコンで業務ができる企業や、ペーパーレスが実現しやすい企業です。書類のやり取りが発生しないため、フリーアドレスになっても不自由はしないでしょう。

そのほか、以下のような目的で働き方を改善したいと考えている企業でも、フリーアドレスの導入を検討する価値があります。

・テレワーク普及に伴いオフィススペースをより有効活用したい
・コミュニケーションを強化したい
・時間や場所にとらわれない働き方にしたい

例えば、テレワーク率50%だと、固定席の場合は50%が余ることになりますが、フリーアドレスにすることで、執務面積が50%に収まります。


オフィスを適正面積にできることにはふたつのメリットがあります。ひとつは固定費が削減でき、利益の増加につながることです。事業発展を考えた、新たな投資も可能になるでしょう。


ふたつめはより働き方に合わせたスペースの活用ができることです。現状と同じオフィスのまま、余ったスペースをオンラインMTGに対応するエリアにしたり、休憩スペースにしたりと、変化していく働き方に合わせて様々な用途で使用することが可能になります。

また、固定席がなく自分の好きな席を選べることから、社員同士や部署間など、社内のコミュニケーションを強化したい企業に適しています。偶然近くに座ったのがきっかけで、新たなコミュニケーションが生まれる可能性があります。

時間や場所にとらわれない働き方を目指す企業では、フリーアドレスによって、あらゆる利用目的に対応できる柔軟なオフィスを実現できるでしょう。

フリーアドレスの過去と今

フリーアドレスが発案されたのは、1987年の日本です。それから30年以上経ちましたが、発案当初からは目的や取り巻く環境が大きく異なっています。

フリーアドレスの変遷

フリーアドレスが発案された当初は、オフィスのスペースを効率化して、コストを削減することが主な目的でした。外回りの社員が多い企業で座席を共有し、空席を減らすことが狙いです。

しかし、当時はパソコンや電話の小型化が進んでおらず、オフィスは紙の資料であふれていました。そのため、状況にあわせて座席を変えるのは難しく、フリーアドレスは狙いどおりに定着しませんでした。現在では、この時期を「フリーアドレス1.0」と呼んでいます。

その後、パソコンはノート型やタブレットへ、電話はスマートフォンへと進化し、持ち運びができるだけでなくメールやチャット、ビデオ通話など豊富な機能が備えられるようになりました。離れた場所にいても社員同士や取引先と情報共有することが容易になり、フリーアドレスが再び認識されるようになりました。いわゆる「フリーアドレス2.0」の到来です。

それまで導入するうえで期待されていたスペースの効率化やコスト削減は、フリーアドレス2.0から「従業員の自由な働き方を実現すること」へと変化しました。柔軟な働き方の推進によって、生産性の向上やコミュニケーションの活性化を目指すものです。

現代に求められているナレッジワーク

もうひとつ、フリーアドレスを導入する企業が増えたのは、「ナレッジワーク」が重視されるようになったことも影響しています。ナレッジワークとは、知識から新たな価値を生み出す働き方です。

近年、金融工学やデジタル技術が進み、体系化できる仕事や、高度なスキルを必要としない仕事は徐々にAIやロボットに置き換えられています。決められた作業をこなすワーカーではなく、「人間だけが生み出せる値」が求められるようになった現代。市場に対して価値を創造する「ナレッジワーク」は、必然的に確立された考え方といえます。

知的創造を行うナレッジワーカーこそ様々な垣根を越境できる環境、つまりオープンでインタラクティブな“ノンテリトリアル・オフィス”空間が必要になってきました。

ノンテリトリアル・オフィスとは、領土を持たないオフィス空間を意味し、機能でいうところのフリーアドレスです。偶発的な出会いや接触を生み出すことに効果的なノンテリトリアル・オフィス環境。

ナレッジワーカーのコミュニケーションパフォーマンスを高め、能力を最大限サポートする為に、オフィス空間をフリーアドレス化させノンテリトリアル・オフィス環境を整えることは重要事項なのです。

フリーアドレスのメリット

さてここで、フリーアドレスのメリットについてまとめてみます。

<フリーアドレスメリット>
■コミュニケーションパフォーマンスが高くなる
■スペースソリューションに繋がる
■コラボレーションの促進
■チーム編成が容易
■決断のスピードが上がる
■環境美化
■省スペース化

フリーアドレスであることは、いつでもどこでも他部署の人と関わる機会にあふれるため、組織の縦の壁がなくなり横に繋がりやすくなります。今まで関わることが少なかったメンバーとコミュニケーションをとることで、多様なコラボレーションが生まれるのです。

新しい発想は「頭の中」ではなく、「会話の中」から創出される。フリーアドレスは多様なコラボレーション、豊富なコミュニケーションを助長させ、新しいアイディアの創造を促進させることができます。また、自席を持たないことによりオフィス空間全体が共有の場所となる為、抱える書類ストックも減り、環境美化の意識も高まることになります。

【関連コラム】(別ウィンドウで該当ページが開きます)
オフィスレイアウトの基本ー最適なオフィス環境の為にベストなレイアウトプランをー
オフィス内のソーシャルディスタンスはフリーアドレスで解決!

フリーアドレスのデメリット

反対に、フリーアドレスのデメリットについてまとめてみます。

<フリーアドレスデメリット>
■適度な距離感を保てない
■組織の中でのアイデンティティロス
■集中しにくい
■ルールの浸透不足
■固定の場所になりがち
■従来のマネージメント方式では対応しきれない

フリーアドレスを導入することにより、オープンコラボレーションの場がスタンダードのオフィス空間となります。プロジェクトの内容やその時の作業内容、そして個々のパーソナリティによっては、あまりにもオープンすぎる空間や、他者との距離が近すぎることにストレスを感じる場合も。

また、フリーアドレスで自由に働く場所を選べるがゆえに、集団意識が希薄となり「組織への所属意識の低下」へ繋がることも懸念されます。これら課題を補うには、適切な相互作用が維持できるように配慮したオフィス空間作り、および組織への所属意識保持(アイデンティティの確保)の為の新たな文化を創造する必要があります。

フリーアドレスに対する課題を解決する方法

では、フリーアドレスに課題があるときは、どのように解決すれば良いのでしょうか。

<集中スペースの確保>
オープンコラボレーションは、他人の集中を阻害してしまう場合もあります。一人集中できるスペースを設けてあげることで、自身で働き方を選択できるようにします。

<フリーアドレスをルール化>
フリーアドレスでありながら、いつも同じ席にいては利点が最大限に発揮されません。「ルーレットやくじ引きなどでその日に座る席を決める」など、必然的に座る席を毎日変えてしまう仕組みも適切な運用には重要です。

<モバイルロッカーにネームプレート>
フリーアドレスになり自席がなくなることで、自分は企業のどこの位置にいるのかが不明瞭になったり、自分がその企業に属している意識が薄くなってしまう場合もあります。モバイルロッカーに自身の写真や名前が存在するだけで、「自分はこの企業に存在しているのだ」という帰属意識へと繋がります。

<グループアドレスを導入する>
「グループアドレス」とは、部署ごとにエリアを決め、その中で自由に席を選べるスタイルです。フリーアドレスのメリットを享受できるうえ、部署のメンバーが必ずエリア内にいて一体感を保つことができるため、帰属意識が薄れることがありません。

フリーアドレスより導入のハードルも低く、多くの企業にマッチするスタイルといえるでしょう。

フリーアドレス以外を検討すべきケース

フリーアドレスが企業のイノベーションにつながる前提には、「適した企業スタイルであること」が必要です。場合によっては、フリーアドレスを導入したことで非効率になってしまうこともあります。

以下のような特徴が当てはまれば、フリーアドレスが向いていない企業といえるかもしれません。自社に合った別の働き方やオフィスデザインを検討したほうが良いでしょう。

1.社員の在席率が高い

電話対応や紙の資料を扱うことが多い事務や総務など、デスクワークが中心の業種や部署では座席を固定したほうが効率よく働けるでしょう。

専用の機械やモニタ付きのデスクトップパソコンを使って作業するクリエイターにも同じことがいえます。特に、チーム体制での作業が必要な場合は、固定席のほうがスムーズに連携しやすいです。

2.個人情報や機密情報を扱う

経理や人事、法務、管理部門、金融業などの個人情報や機密情報を扱う業種や部署も、フリーアドレスには向いていません。情報漏えいのリスクが高まるからです。

こうした情報は、ペーパーレス化も容易ではありません。紙のまま扱うなら1ヶ所で集中管理するのが望ましく、分散させるのは危険ですし、必要になるたび所定の場所へ取りにいくのも面倒でしょう。固定席のほうが安定した管理ができます。

3.40代以上の社員が多い

フリーアドレスが普及し始めたのは、ここ10年ほどです。その前に入社して一般的な座席固定のオフィスで働いてきた社員が多いと、フリーアドレスは受け入れられないかもしれません。

40代以上の世代は、昇進にともなってデスク周りがきれいになることがモチベーションになっていた部分もあります。フリーアドレスになって急に必要最低限のものしか持たなくなると、かえってモチベーションが下がってしまう可能性があります。座席を固定して周りに私物を置くようになれば、フリーアドレスが形骸化してしまうおそれもあります。

フリーアドレス・グループアドレス・固定席ー・・・
組織の数だけ働き方があります。ひとつひとつの企業がもつ固有の文化、働き方と十分に向き合い、組織にとって最適な働き方、オフィスデザインを構築していきましょう。

フリーアドレス導入時の失敗例については下記の記事でも詳しくご説明しています。
失敗例について知っておくことで、より導入時のイメージがつきやすくなると思いますのでぜひこちらもチェックしてみてください。
【なぜフリーアドレスの導入は失敗するのか。原因と対処法を解説!】

コロナ禍におけるフリーアドレス導入の流れ

フリーアドレスを導入する上で大きな課題となるのが「コロナ禍」の影響です。どのように導入すれば良いのか、流れを見てみましょう。

1.導入する範囲を決定する

まずは、導入する範囲を決定します。これまで説明したとおり、すべての業種や部署にフリーアドレスが向いているわけではありません。

そのため、いきなりオフィス全体で始めるのではなく、営業部門など、フリーアドレスによるメリットの大きいところから導入するのがおすすめです。部署の特性や仕事の内容によっては、エリアを決めてグループアドレスにする方法もあります。

一定の成果が得られたら、ほかの部署への拡大も検討しましょう。

2.座席数を決定する

次に座席数を決定します。営業部門のように外回りが中心で、不在がちな社員の分はもちろん、テレワークで出社回数が少ない社員の分についても、削減する対象です。

対象の社員のうち、何人が同時に出社するか、その際にどれくらいの座席数が必要か検討した上で「座席設定率」を割り出します。対象の社員が50人いて、座席設定率が70%であれば、必要な座席数は35です。座席数が決まったら、デスクの配置などレイアウトを考えましょう。

3.運用形態を決定する

次に運用形態を決めます。本来であれば、対象の社員が自由に座席を決められるなら、運用の手間はかかりません。しかし、コロナ禍では、万が一感染者が発生したときに濃厚接触者を素早く特定することが大事です。自由に座席を決められると、濃厚接触者の特定が遅れて、感染が拡大するおそれがあります。

そのため、運用する側で座席を把握できるようにしたり、逆に座席を指定したりするなどの対策が必要です。

4.感染症対策を徹底する

オフィスをレイアウトするときは、感染症対策を徹底しなければいけません。ソーシャルディスタンスの確保や、除菌などのルールを制定します。


設備の設置や工夫

座席の配置を横並びにしたり、対角にしたりすることで、飛沫を防ぎます。レイアウトの都合上、どうしても対面にしなければいけない場合は、間に飛沫防止パネルを設置することをおすすめします。

アクリル板のパネル以外にも、ファブリックのパネルであれば、視界を遮るだけでなく、音を吸収する効果もあるため、簡易的な集中ブースとして使えるでしょう。ほかにも、座席に持ち込む荷物の量を少なくするため、個人用のロッカーがあると便利です。


ルールを決める

コロナウイルスの感染対策のため、座席の使用後は除菌を義務づけます。

各座席には除菌シートを設置し、使用後は各自で机を拭くように徹底しましょう。また、使ったものは置きっ放しにせず、元の場所に戻すような習慣づけも重要です。

フリーアドレスオフィスに関する資料

フリーアドレスオフィスのメリットとデメリットをダウンロードできる資料にまとめました。運用のヒントやABW(Activity Based Working)についても紹介しています。

▼資料をダウンロード▼(別ウィンドウで該当ページが開きます)
https://designers-office.jp/download/abw/index.php

フリーアドレスを導入したオフィスデザイン事例

(別ウィンドウで該当ページが開きます)

アポクリート株式会社
働き方やデザインを一新しフリーアドレスを導入。社員の皆さまにとって誇りとなり、働きたいと思えるオフィス

株式会社シイエヌエス
温かみのある木目やグリーンが印象的。開放的なフリーアドレスオフィス

株式会社K-BIT
自由に働く場所を選べる、おしゃれなABWオフィス

株式会社ブラス
多層階にまたがるフリーアドレスへの挑戦

日本経営 グループ
フリーアドレスを軸に回遊コミュニケーションが生まれるオーバルオフィス

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