働きやすい職場とは?メリットや環境の作り方、事例を紹介

多くの企業で人手不足が課題となっている中、人材を安定的に確保するためには、働き方の見直しも必要です。改革すべきポイントには、勤務日数や労働時間だけではなく、職場環境も含まれます。 ここでは、働きやすい職場を実現するメリットや効果とともに、コツも解説します。

この記事は約7分で読み終わります。

働きやすい職場の5つの特徴

社員の多くが働きやすいと感じる職場には、共通点があります。主な特徴は、次の5つです。

人間関係にストレスがない

まず挙げられるのが、人間関係に起因するストレスがないことです。上司や部下、同僚間などの人間関係が良好であり、互いに信頼が成り立っている場合は、職場に対するストレスが軽減されます。

例えば重大なミスが生じたとき、信頼関係がなければ「叱責されるかもしれない」「みんなの前で怒鳴られるかもしれない」と恐怖が先に立ちます。無意識に自己保身へ走ってしまい、報告が遅れたり隠ぺいに発展したりと、問題の規模が拡大しかねません。

人間関係が良好で互いに信頼関係があれば、「早めに報告しよう」「理由を言えば助けてくれる」と積極的な報告がしやすくなるでしょう。失敗の影響を最小限に留められます。

情報共有がスムーズに行われる

次に挙げられる特徴は、情報共有がスムーズに行われていることです。前述の良好な人間関係も大きく影響しています。信頼関係が成り立っていれば、「今声をかけても大丈夫だろう」と判断でき、業務で必要となる情報が即座に共有されるのです。

反対に「声をかけたら怒られる」「無視される」と不安がある状態では、情報共有が後回しにされることもあります。重要情報の共有漏れや伝達ミスにつながるだけではなく、各個人のノウハウも共有されにくくなることも問題です。

働きやすい職場ではスムーズに情報が伝わるうえ、個人が蓄積したノウハウも積極的に共有されるため、仕事の作業効率が各段に向上します。

研修体制が整っている

新卒や中途、既存社員がともに「働きやすい」と感じる職場の特徴として、研修体制が整っていることも挙げられます。とくに、新しい業務を始める場合、研修体制が整っているかどうかで、担当者が抱えるストレスは大きく異なります。

働きやすさは、社員が個々に意識して作り上げるだけではなく、企業側によるサポートも重要なのです。社員に安心感を与えつつ、業務の質を安定させるためにも、研修制度は欠かせません。

働く時間や場所を自由に選べる

社員が働く時間と場所を自由に選べるよう、オフィス分散を実施したり、フレックスタイム制を導入したりする企業も増えてきました。

育児・介護との両立がしやすくなったり、以前よりもプライベートの時間を多く確保できたりと、社員の働きやすさにつながっています。

オフィス分散のメリットについては、以下の記事でも詳しく説明しています。

オフィス分散を採用するメリットとは? 注意点・事例とともに紹介

業務の見直し・改善が頻繁に行われる

働きやすい職場の特徴のひとつは、業務の見直しや改善が頻繁に行われるなど、常に成長し続けていることです。

生産性を向上させるには、社員一人ひとりの負担を軽減し、より現場に浸透しやすいやり方を模索していく姿勢が必要です。課題把握と改善を継続的に実行することで、社員が業務や働き方に対する不満を長期間抱えずに済み、従業員エンゲージメントの向上も見込めるでしょう。

働きやすい職場によって生まれるメリット

働きやすい職場の実現は、企業にとっても社員にとっても複数のメリットが期待できます。主なメリットとして挙げられるのは、次の3つです。

業務の生産性が向上する

ひとつ目のメリットは、業務の生産性向上につながることです。ストレスなく働ける環境は、個々のパフォーマンスを最大化させます。

スピーディーな情報共有や相互連携がスムーズに行える職場なら、より高い生産性を期待できます。

離職率が減少する

ふたつ目のメリットは、離職率の減少です。人手不足が叫ばれる中、新たに雇い入れる人材だけではなく、既存の優秀な社員をいかに自社へ留めるかも模索しなくてはなりません。

-令和3年雇用動向調査結果の概況-」(厚生労働省)によると、離職理由として多く挙げられているのが「労働条件」「給料」「人間関係」の3つ。働きやすい職場づくりによってそれらの問題を解決できれば、社員の離職を減少させることができます。

企業イメージが向上する

3つ目のメリットは、企業イメージの向上につながることです。近年、求職者は企業の口コミ情報も企業選びの参考にしています。離職者が少ない、働きやすい、きちんと評価してもらえるなど好意的な口コミが広がれば、採用応募の増加も見込めるでしょう。

また企業イメージは、ステークホルダーへの重要なアピールポイントのひとつです。自社の対外的なイメージが向上すれば、信頼度が高まり、消費者から選ばれやすくなります。

【3ステップ】働きやすい職場環境の作り方

働きやすい職場環境を実現するには、漠然とした目標を掲げるだけではなく、積極的な施策の導入が必要です。

ここからは、働きやすい職場環境を構築する手順を紹介します。

ステップ1:サーベイツールなどで組織課題を可視化する

改善のためには、まず現状を客観的に把握することから始めます。

ただし、経営者や各部門の責任者が確認している情報を出し合うだけでは、現場レベルでの課題に言及できないこともあります。組織課題を把握するには、サーベイツールの活用も検討してみましょう。

組織の抱える課題を可視化できるツールをお探しなら、「ココエル」をぜひご利用ください。ココエルは社員のメンタル不調やチームのコミュニケーション不足など、現状抱えている組織課題を可視化できるツールです。

チームや性別など、さまざまな視点で分析できるほか、他社の分析結果も含めた総合データと比較できる偏差値機能もあります。課題に対する改善策の提案やストレスチェックにも対応しているため、経営サポートツールとして長期的にご活用いただけます。

ステップ2:組織課題の優先順位をつける

具体的な改善策を実施する前に、次は分析データから課題の整理を行いましょう。

ただし、複数の組織課題を一度に解決することは困難です。重要性・緊急性を考え、優先順位をつけていきましょう。自社にとって、より大きなインパクトを与える課題から着手していくことが重要です。

ステップ3:解決策をリサーチし、実施する

優先度の高い課題から順に、解決策をリサーチ・実施します。福利厚生を見直したり、社内研修を実施したりと、社員のパフォーマンス向上を実現する施策を考えましょう。また、オフィス内装を大幅に変える、オフィス移転するなど、長期化したり大規模な解決策になることもあるでしょう。施策の実施によってかかるコストや工数、得られる成果を慎重に検討したうえで決定することが重要です。

解決策を実施した後は、しばらく様子を見てから再度サーベイツールを通して現状の把握と評価を行います。新たな課題が生じている場合は、ステップ1~3を繰り返し、改善していきましょう。

【導入事例】働きやすい職場環境を実践した企業

働きやすい職場環境を構築するには、社員が「心身ともに健康であること」「高いパフォーマンスを発揮できること」を重視しましょう。社員一人ひとりが快適な働き方ができるようになれば、会社への愛着も高まり、自発的に行動してくれるようになります。

社員が働きやすいと思える職場環境の参考として、2社の事例を紹介します。

【株式会社愛幸】挑戦・進化し続けるイメージをデザイン。コミュニケーションが広がるABWオフィス

株式会社愛幸の事業拡大にともなう新社屋建設・オフィス拡張移転で、働き方に変革を起こすオフィスデザインを行いました。社員一人ひとりが個性を引き出しつつ自然に交流できる、村のようなオフィス「AS Village」がコンセプトです。

社員が気分や業務内容に合わせて自由に座席を選べるよう、ABWを採用しました。ごろ寝エリアやソファスペースなど、ユニークな座席も多いのが特徴です。

「ワーカーが快適かつ機能的で精神的にゆとりを感じるような生活の場となっている」として、2022年度第35回日経ニューオフィス賞にも選ばれています。

日経ニューオフィス賞は、創造性を高める働き方を誘発できるか、ITを活用した知的生産活動の場となっているかなど、さまざまな審査基準から決定されます。地球環境への影響や地域社会の貢献など、自社のみではなく周囲への配慮も審査内容に含まれており、デザイン性以外の部分も大きく評価されました。

【アイペット損害保険株式会社】生産性と創造性を高め、コミュニケーションを活性化する「アイノバ」オフィス

アイペット損害保険株式会社のオフィスは、ほとんどをフリー席として、複数のコミュニケーションポイントを点在させたレイアウトが特徴です。

「リフレッシュエリア」「集中エリア」「執務エリア」の3エリアの中で、用途に合わせたスペースをそれぞれ設けることにより、社員に「働く場所」の選択肢を与えています。個人ロッカーを中央に配置することで、プライベート空間を確保しながら、コミュニケーションを活性化させることも期待できます。

企業理念の「ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会をつくる」にふさわしく、壁のイラストなど随所にペットへのアイ(愛)が感じられるデザインも魅力です。ユーザーとペットのアイ、働く社員のアイを生み出し、育む「アイノバ」オフィスとして、出社するメリットを提供し続けています。

まとめ

多くの社員に働きやすい職場環境を提供できれば、優秀な人材の離職を防いだり、生産性を向上させたりと、企業も多くのメリットを得られます。

 

効果的な施策を行えるよう、まずは抱えている課題の洗い出しと優先順位を明確にすることから始めましょう。